学生時代に、筆箱の中で消しゴムがプラスチック製の文房具、例えば定規を傷つけてしまった経験はありませんか?
この記事では、消しゴムとプラスチックがどうして反応してしまうのか、その化学的な背景と防ぎ方について詳しくご紹介します。
消しゴムの多様な種類
市場にはさまざまなタイプの消しゴムがあります。プラスチック消しゴム、ラバー消しゴム、砂消しゴム、練り消しゴムなど、多種多様です。
これらの中でも、特にプラスチック消しゴムが一般的で、ほとんどの文房具店で主に販売されています。
プラスチック素材に接触すると解ける性質を持つプラスチック消しゴムですが、どうしてそのような現象が起きるのでしょうか?
プラスチック消しゴムが他のプラスチックを溶かす原理
プラスチック消しゴムは、次の材料で構成されています。
・塩化ビニール樹脂
・可塑剤
・細かい研磨材
塩化ビニール樹脂は一般的に使用されるプラスチックの一種です。
消しゴムには、その柔軟性を保つためや、鉛筆やシャーペンのインクを紙から除去する効果を高めるために可塑剤が添加されています。
この可塑剤は、消しゴム内部で塩化ビニール樹脂と完全に結びついてはおらず、水を保持したスポンジのような形で含まれています。
消しゴムがプラスチックの定規などと接触する際には、この可塑剤が定規に移動し、定規を柔らかくしたり、溶解させたりすることがあります。
この現象は、湿ったスポンジが乾いた紙に接触して紙を湿らせ、柔らかくするのに似ています。
以上が、プラスチック消しゴムが他のプラスチック製品を溶かす理由です。
消しゴムによるプラスチックの溶解期間と対策
消しゴムがプラスチックを溶解させるまでの期間は通常1〜2週間ですが、夏場などの高温期にはわずか1〜2日で溶け出すことがあります。
消しゴム用紙ケースの重要性
消しゴムにはほとんどの場合、紙のケース(スリーブ)がついています。このケースは、消しゴムの可塑剤がプラスチックを溶かすのを防ぐために非常に重要です。
紙ケースには「消しゴムや消しクズが塗装面やプラスチック面に付着し溶かす可能性があるため、使用後は必ず紙ケースに戻して保管してください」という警告文がしばしば記載されています。
プラスチック製品を守るための消しゴムの保管法
プラスチック製の筆箱やペンケースを使用する場合、消しゴムが長時間直接接触しないように、定期的に筆箱やペンケースを開けては消しゴムの出し入れをすることが大切です。
プラスチックの溶解が心配なら、布製や革製の筆箱やペンケースの使用がお勧めです。プラスチック製のものを使用する場合には、消しゴムを紙で包む、厚紙で専用ケースを自作するなどの対策を講じることが効果的です。また、消しゴム専用のケースもオンラインで販売されていますので、これを利用するのも一つの方法です。
まとめ
プラスチックと消しゴムが接触した際に、プラスチック表面に消しゴムの跡が残ることがあります。
これは化学反応によって生じるもので、一度ついた跡を元通りにする方法は存在しません。
そのため、消しゴムの跡を未然に防ぐためには、消しゴムが他の物質と接触しないように注意するしかありません。
この記事では、消しゴムがプラスチックを溶かす理由と、それを防ぐための対策を解説しました。